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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻13号

2007年12月発行

疾患と検査値の推移

糖尿病ケトアシドーシス

著者: 岩田充永1

所属機関: 1名古屋掖済会病院救命救急センター

ページ範囲:P.1439 - P.1442

文献概要

疾患について

 糖尿病ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis,DKA)は,糖尿病患者においてインスリン作用低下により高血糖(これによって浸透圧利尿による脱水が起こる)と脂肪分解によるケトン体合成(これによって代謝性アシドーシスが起こる)が生じる病態で,適切に診断し迅速に治療を開始しないと生命にかかわる糖尿病の緊急合併症である.

 教科書的にはDKAは“糖尿病性昏睡”という病態で記載されているが,すべての患者が昏睡状態で受診するわけではなく,むしろ昏睡状態になる前に早期に診断し治療を開始することが重要である.DKAを早期に見落とさないためには,意識障害,昏睡状態で搬送された症例を診察する場合はもちろんのこと,糖尿病と診断されている患者が「なんとなく体がだるい」といった不定愁訴や,頻回の下痢・嘔吐といった症状で救急外来を受診した場合も,DKAや高浸透圧・非ケトン性症候群(hyperosmolar hyperglycemic nonketoic syndrome,HHNS)の可能性を念頭にバイタルサイン,血糖値,血液ガス分析(静脈血で十分),尿検査をチェックし診察を進めることが重要である.糖尿病患者が救急外来を受診した場合は,重篤な緊急合併症の見落とし防止のために血糖,血液ガス分析,尿検査といった検査に対する閾値を下げたほうがよい.

参考文献

1) Trachtenbarg DE : Diabetic ketoacidosis. Am Fam Physician 71:1705-1714,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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