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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻13号

2007年12月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

複数菌分離例における原因菌の決定法

著者: 相原雅典1

所属機関: 1医療法人社団徳風会高根病院検査部

ページ範囲:P.1472 - P.1475

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はじめに

 細菌や真菌感染後の発症の有無や症状の重軽は,菌側の病原性と宿主側の抵抗力とのバランスで決まる.今日先進国においては多くの強毒菌感染症の自然発生が制圧され,強毒菌感染症による致死的リスクは著しく軽減した.反面,終末期の医療現場において,感染症はいまだ患者生命を奪う重要なリスクファクターであることに変わりない.わが国で日常的にみられる感染症のほとんどは「平素無害な微生物による日和見感染症」であるが,この感染症は宿主側の抵抗力の減弱により菌側の病原性とのバランスが崩れることで成立する.それゆえに,強毒菌感染症のように感染菌の名称がわかればその疾患を診断できるケースは少ない.現在の培養・同定検査に偏った検査法では,検出菌が一種であれ複数であれ,日和見感染症における検出菌の意義付けは容易ではなく,検出菌の病的意義を適切に判断しうる検査体系の再構築が急務となっている.

参考文献

1) Kass EH : Asymptomatic infections of the urinary tract. Trans Assoc Am Physicians 69:56-64,1956
2) Stamm WE, Wagner KF, Amsel R, et al : Causes of the acute urethral syndrome in women. N Engl J Med 303:409-415,1980
3) Bartlett JG, Finngold SM : Bacteriology of expectorated sputum with quantitative culture and wash technique compared to transtracheal aspirates. Am Rev Respir Dis 117:1019-1027,1978
4) Uehara S : A method of bacteriological examination of washed sputum in infants and children. Acta Paediatr Jpn 30:253-260,1988
5) 相原雅典:呼吸器感染症.菅野治重,川上小夜子(編):感染症診断に必要な微生物検査.ライフサイエンス,pp6-20,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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