文献詳細
病気のはなし
文献概要
サマリー
アスベストにより誘発される中皮腫は,曝露から発症までの潜伏期間が35年前後と長く,いったん発症したら治療が難しいため,早期発見・早期治療が重要である.しかし,現在一般に用いられている診断法は,断層撮影(CTスキャン)あるいは生検材料による診断で,検出されたときには既に進行していることが多い.簡便で繰り返し検査が可能な中皮腫の血液測定キットは,アスベスト曝露群に対する1次スクリーニング法として有用である.この1次スクリーニング法に高精度化した診断を2次スクリーニングとして加えれば,アスベスト曝露群から早期の中皮腫患者を効率的・高精度に発見する総合的中皮腫早期診断システムを構築することが可能となると考える.
アスベストにより誘発される中皮腫は,曝露から発症までの潜伏期間が35年前後と長く,いったん発症したら治療が難しいため,早期発見・早期治療が重要である.しかし,現在一般に用いられている診断法は,断層撮影(CTスキャン)あるいは生検材料による診断で,検出されたときには既に進行していることが多い.簡便で繰り返し検査が可能な中皮腫の血液測定キットは,アスベスト曝露群に対する1次スクリーニング法として有用である.この1次スクリーニング法に高精度化した診断を2次スクリーニングとして加えれば,アスベスト曝露群から早期の中皮腫患者を効率的・高精度に発見する総合的中皮腫早期診断システムを構築することが可能となると考える.
参考文献
1)Hino O, Kobayashi E, Nishizawa M, et al:Renal carcinogenesis in the Eker rat. J Cancer Res Clin Oncol 121:602-605,1995
2)Yamashita Y, Yokoyama M, Kobayashi E, et al:Mapping and determination of the cDNA sequence of the Erc gene preferentially expressed in renal cell carcinoma in the Tsc2 gene mutant (Eker) rat model. Biochem Biophys Res Commun 275:134-140,2000
3)Hino O:Hereditary renal carcinogenesis fitting Knudson's two-hit modelu:ugenotype, environment, and phenotype. Genes Chromosomes Cancer 38:357-367,2003
4)Hino O:Multistep renal carcinogenesis in the Eker(Tsc 2 gene mutant) rat model. Current Molecular Medicine 4:807-811,2004
5)樋野興夫:アスベスト救済.読売新聞10月27日付,2005
6)樋野興夫:アスベスト・中皮腫より発がんを考える.新農林技術新聞12月15日付,2005
7)樋野興夫:Asbestos-related mesothelioma(“Asbestoma”)の血液診断.Human Scence 17:26-29,2006
8)樋野興夫:アスベスト・中皮腫の実態と診療・検査の実情.モダンメディア 52:67-71,2006
9)樋野興夫:中皮腫トピックス 血液検査―早期診断を目指して.日本胸部臨床 65:626-632,2006
10) 樋野興夫:胸膜悪性中皮腫血清マーカーについて.呼吸器科 9:601-605,2006
11) 樋野興夫:アスベストの検査法は?―特に,中皮腫の血清マーカーについて.検査と技術 34:796-799,2006
12) Medical Asahi 10:18-21,2006
13) 樋野興夫:中皮腫の血清診断マーカーの考え方.最新医学 62:35-43,2007
14) Shiomi K, Miyamoto H, Segawa T, et al:A novel ELISA system for detection of a "N-ERC/Mesothelin" in the sera of mesothelioma patients. Cancer Sci 97:928-932,2006
15) Maeda M, Hino O:Molecular tumor markers for Asbestos-related mesothelioma. serum diagnostic markers. Pathology International 56:649-654,2006
掲載誌情報