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病気のはなし
関節リウマチ
著者: 熊谷俊一1
所属機関: 1神戸大学大学院医学研究科生体情報医学講座臨床病態・免疫学分野
ページ範囲:P.106 - P.110
文献購入ページに移動わが国の関節リウマチ(rheumatoid arthritis,RA)患者数は70万人と推察され,進行すると関節障害をもたらす.抗腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor,TNF)-α薬などの生物学的製剤の導入は,「関節変形を防ぎ関節障害を起こさせない」ことを可能としつつあるが,そのためには早期診断早期治療が重要である.RAの診断にはリウマトイド因子(rheumatoid factor,RF)が用いられてきたが,RFは他の膠原病や慢性炎症性疾患でもしばしば陽性となり,特異性が低いことが問題であった.抗シトルリン化ペプチド(cyclic citrullinated peptide,CCP)抗体は保険未収載であるが,特異度が高く診断に有用である.RAでは早期に関節予後を推定することも重要であるが,抗CCP抗体やマトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloproteinase,MMP)-3が関節破壊のマーカーとして注目されている.RA患者の関節の破壊は発症後2年以内に進行することが多く,そのような症例を見きわめ早期からしっかりと治療することが重要である.
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