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技術講座 生化学
small dense LDLの測定
著者: 原克子1 朴幸男2 髙橋伯夫2
所属機関: 1関西医科大学附属滝井病院臨床検査部 2関西医科大学臨床検査医学
ページ範囲:P.117 - P.125
文献購入ページに移動近年,食生活の偏重や運動不足などが原因で肥満者が急増している.比較的若年者においても肥満が高脂血症の原因として指摘され,ひいてはメタボリックシンドローム(metabolic syndrome,MS)の要因としてクローズアップされている.そのなかでも,低比重リポ蛋白コレステロール(low-density lipoprotein cholesterol,LDL-C)と動脈硬化に基づく心血管病の発症との因果関係が明らかにされている.最近では,LDLのなかでもサイズが小さく比重の重いsmall dense LDL(sd LDL)が動脈硬化に強く関与するとして注目されている.sd LDLは,トリグリセリド(triglyceride,TG)の増加や,高比重リポ蛋白コレステロール(high-density lipoprotein cholesterol,HDL-C)の低下の病態に一致して増加しており,動脈硬化を惹起する脂質異常の特徴とされている.しかし,sd LDLの測定は超遠心法や電気泳動法によるもので,操作には熟練が必要なうえに,測定に長時間を要し,多量検体処理ができないために検査室ではほとんど行われていなかったが,2004年,平野らによりsd LDLを簡便に測定できる定量法が開発され,自動分析装置での測定が可能となった.
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