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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻2号

2007年02月発行

文献概要

検査じょうほう室 〈診療支援〉

遺伝学的検査に関する注意点

著者: 涌井敬子12 福嶋義光13

所属機関: 1信州大学医学部社会予防医学講座遺伝医学分野 2信州大学医学部附属病院遺伝子診療部 3信州大学病院遺伝子診療部

ページ範囲:P.162 - P.165

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はじめに

 ヒトゲノム・遺伝子解析研究の進展により,2003年にはヒトのもつ約30億塩基対の塩基配列の一次構造が決定された.原因不明であったさまざまな疾患の責任遺伝子や発症のメカニズムが分子レベルで次々に明らかにされ,責任遺伝子の明らかになった単一遺伝子疾患については遺伝子診断が新たな臨床診断法として診療に用いられつつあり,さらに原因に基づく病態の解明や治療へ向けての研究が進められている.

 近年では稀な遺伝性疾患だけでなく,誰にでもなじみのある,高血圧,糖尿病,心筋梗塞などの多因子遺伝疾患や癌も,個々人の遺伝要因が関与していることが明らかになってきた.さらに,一部の治療薬については,個々人の遺伝子多型と薬物反応性の関連が証明され,効果・副作用の判定や適切な投与量決定のために遺伝学的検査が用いられようとしている.あらゆる健康の問題に遺伝要因が関係しているということで,将来は個々人の薬物反応性・疾患感受性などの,いわゆる体質の違いを考慮に入れたオーダーメイド医療が導入され,遺伝学的検査の役割がますます大きくなることが予想される.

 本稿では“遺伝学的検査”についての定義と,実施に際して求められる注意点やその理由などを正確に理解していただければ幸いである.

参考文献

1)福嶋義光:総論―遺伝子診断の定義・分類および倫理指針・ガイドライン(連載1「遺伝子診断の最前線」).医学の歩み 212:1086-1090,2005
“ヒト遺伝情報に関する国際宣言(2003)”(国際連合教育科学文化機構:UNESCO) 〈http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu1/shiryo/001/04010701.htm〉
“医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン(2004)”(厚生労働省)〈http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/s1224-11.html〉
“ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(2004)”(文部科学省,厚生労働省,経済産業省)〈http://www.mext.go.jp/a menu/shinkou/seimei/main.htm〉
“経済産業分野のうち個人遺伝情報を用いた事業分野における個人情報保護ガイドライン(2004)”(経済産業省)〈http://www.meti.go.jp/press/20041217010/041217iden.pdf〉
“遺伝学的検査に関するガイドライン(2003)”(遺伝医学関連10学会:日本遺伝カウンセリング学会,日本遺伝子診療学会,日本産科婦人科学会,日本小児遺伝学会,日本人類遺伝学会,日本先天異常学会,日本先天代謝異常学会,日本マススクリーニング学会,日本臨床検査医学会,家族性腫瘍研究会)〈http://jshg.jp/resources.htm〉
“ヒト遺伝子検査受託に関する倫理指針(2001)”(日本衛生検査所協会)〈http://www.jrcla.or.jp/〉

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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