文献詳細
文献概要
臨床医からの質問に答える
血小板輸血の際のトリガー値
著者: 羽藤高明1
所属機関: 1愛媛大学医学部附属病院輸血部
ページ範囲:P.166 - P.168
文献購入ページに移動■背 景
血小板輸血は,血小板減少症に対する補充療法であり,強力な癌化学療法や移植医療を安全に遂行できるようにするための支持療法として行われることが多い.血小板数がどのくらいまで減少すれば血小板輸血を開始すべきなのかについては臨床上重要な指標となっていて,この数値をトリガー値と呼んでいる.血小板輸血のトリガー値は,これまで半ば慣習的に決められていたが,近年,質の高い無作為対照試験が複数実施され,エビデンスに基づいた基準が明確になった.これを踏まえて,2005年に厚生労働省(以下,厚労省)より通達された輸血ガイドラインは新たな基準に改訂されている.本稿では,トリガー値設定の科学的根拠とトリガー輸血を実施するうえでの問題点および注意点について述べる.
血小板輸血は,血小板減少症に対する補充療法であり,強力な癌化学療法や移植医療を安全に遂行できるようにするための支持療法として行われることが多い.血小板数がどのくらいまで減少すれば血小板輸血を開始すべきなのかについては臨床上重要な指標となっていて,この数値をトリガー値と呼んでいる.血小板輸血のトリガー値は,これまで半ば慣習的に決められていたが,近年,質の高い無作為対照試験が複数実施され,エビデンスに基づいた基準が明確になった.これを踏まえて,2005年に厚生労働省(以下,厚労省)より通達された輸血ガイドラインは新たな基準に改訂されている.本稿では,トリガー値設定の科学的根拠とトリガー輸血を実施するうえでの問題点および注意点について述べる.
参考文献
1)Heckman KD, Weiner GJ, Davis CS, et al:Randomized study of prophylactic platelet transfusion threshold during induction therapy for adult acute leukemia:10,000/μl versus 20,000/μl. J Clin Oncol 15:1143-1149,1997
2)Rebulla P, Finazzi G, Marangoni F, et al:The threshold for prophylactic platelet transfusions in adults with acute myeloid leukemia. N Engl J Med 337:1870-1875,1997
3)Wandt H, Frank M, Ehninger G, et al:Safety and cost effectiveness of a 10 × 109/L trigger for prophylactic platelet transfusions compared with the traditional 20 × 109/L triggeru:uA prospective comparative trial in 105 patients with acute myeloid leukemia. Blood 91:3601-3606,1998
4)Slichter SJ, Harker LAu:uThrombocytopeniau:uMechanisms and management of defects in platelet production. Clin Hematol 7:523-539,1978
5)Porte RJ, Molenaar IQ, Begliomini B, et al:Aprotinin and transfusion requirements in orthotopic liver transplantation:a multicentre randomized double-blind study. EMSALT study group. Lancet 355:1289-1290,2000
6)Moller P, Andersson PO, Andersson AC, et al:Plasma thrombopoietin concentrations in response to platelet transfusion therapy. Acta Haematol 102:131-134,2000
掲載誌情報