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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻3号

2007年03月発行

文献概要

技術講座 生化学

パスビジョンの実際

著者: 小野里薫1 津田均1

所属機関: 1防衛医科大学校病態病理学講座

ページ範囲:P.239 - P.245

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新しい知見

 ハーセプチン(トラスツズマブ)はがん遺伝子HER-2/neu(c-erbB-2)蛋白質を標的とした分子標的薬でHER-2遺伝子増幅/蛋白質過剰発現を示す乳癌に対する重要な選択治療薬となっている.ハーセプチン適応となるのはHER-2遺伝子増幅または蛋白質過剰発現を示す転移性乳癌であり,HER-2検査の結果がそのまま治療へと直結する.海外では手術可能な原発性乳癌の術後全身療法や術前全身療法でも有効性が示された.HER-2の検査は,蛋白質の過剰発現をみる免疫組織化学(immunohistochemistry,IHC)検査と,遺伝子の増幅をみるFISH(fluorescence in situ hybridization)検査とがある.検査の手順は,はじめにIHCで発現をスコア0,+1,+2,+3で評価し,+3はハーセプチン適応,0,+1は不適応となるが,+2となった症例は判定を保留し,FISH法で再検査を行うのが一般的である.パスビジョン(PathVysionTM)キットはアボット(Abbott)社より発売されている体外診断用医薬品で,FISH法により癌組織におけるHER-2遺伝子増幅の有無をみる検査薬である.本稿では代表的FISH検査法キットであるパスビジョンについて解説する.

参考文献

1)津田均,木村幹彦:免疫組織化学・FISH法の分子標的治療への応用.日本組織細胞化学会(編):組織細胞化学2003.学際企画,pp219-227,2003
2)大塚由希子,津田均:乳癌におけるHER-2/neu遺伝子異常のFISH解析―有効性と注意点,免疫組織化学との比較.臨床検査 50:753-760,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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