文献詳細
文献概要
Laboratory Practice 〈生化学〉
アミラーゼ反応系(酵素法)を利用したカルシウム測定法の原理
著者: 木全伸介1
所属機関: 1東洋紡績株式会社 敦賀バイオ研究所
ページ範囲:P.274 - P.275
文献購入ページに移動総カルシウム(Ca)の日常検査法としてo-クレゾールフタレインコンプレクソン(o-CPC)法が多くの施設で利用されている.本法はアルカリ条件下,o-CPCと血清中Caの錯体形成によって生じる発色度からCa濃度を求めるものである.アルカリ条件下においてCaはo-CPCとの結合よりもアルブミン(Alb)との結合のほうが強く,血清Alb濃度に応じて発色が不十分となり蛋白質結合型Caの一部が測定できていないとの報告がある2).また,日常検査での問題点として,検量線がシグモイド曲線を示すこと,開封保存中,緩衝液のpH低下により検量線がシフトすること,共存するMgなどのイオンの影響を受けることなどが指摘されている1,3).
一方,o-CPC法の問題点を解消すべく種々の酵素法が提案された.そのなかで,アミラーゼ反応を利用した方法が,Ca測定試薬初の酵素法として市販され,臨床検査室で利用されてきている.
本稿では,アミラーゼ反応を利用した酵素法の測定原理について,市販キット“ダイヤカラー(R)・リキッドCa(東洋紡)”4)を例に解説し,本原理に基づく本法の特化性能について説明する.
参考文献
掲載誌情報