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文献概要
検査じょうほう室 〈生化学〉
抗てんかん薬遊離型血中濃度の変動要因
著者: 池谷均1
所属機関: 1神奈川リハビリテーション病院検査部
ページ範囲:P.277 - P.279
文献購入ページに移動はじめに
世界保健機構(World Health Organization,WHO)の「てんかん辞典」では,『てんかんとは種々の成因によってもたらされる慢性の脳疾患で,大脳ニューロンの過剰な発作から由来する反復性の発作を主徴とし,これに変異に富んだ臨床ならびに検査所見表出を伴う』と定義されています.てんかんはさまざまな病因による発作を慢性的に反復する脳の障害といえます1).発作の発現を抑制するためには,難治性てんかんに実施される外科的治療を除いて,ほとんどの症例で抗てんかん薬(薬物)の持続的投与が主流となっています.服用された薬物は,血中や組織で蛋白質と結合した結合型と結合していない遊離型として存在し,薬理効果を示すのは遊離型です2).
薬物と結合する蛋白質はアルブミン,グロブリン,α1酸性糖蛋白質などが知られており,特にアルブミンは多くの薬物と結合し,アルブミン量の変動が遊離型薬物の血中濃度に影響を与えるといわれています.さらに,遊離型薬物の血中濃度に影響を与える因子として薬物間の相互作用があります.てんかんの治療には単剤投与が理想とされていますが,重症なてんかんで発作が増強しているような症例では,単剤投与では発作が抑制されず複数の薬物が投与されます.複剤投与では薬物間の相互作用が起こり,薬物の組み合わせにより血中濃度が増減します.
てんかんの治療薬は種々ありますが,本稿では投与頻度の高いフェニトイン(phenytoin,PHT),カルバマゼピン(carbamazepine,CBZ),バルプロ酸(volproate,VPA)についてアルブミン量および薬物間相互作用が遊離型血中濃度に与える影響について考察しました.
世界保健機構(World Health Organization,WHO)の「てんかん辞典」では,『てんかんとは種々の成因によってもたらされる慢性の脳疾患で,大脳ニューロンの過剰な発作から由来する反復性の発作を主徴とし,これに変異に富んだ臨床ならびに検査所見表出を伴う』と定義されています.てんかんはさまざまな病因による発作を慢性的に反復する脳の障害といえます1).発作の発現を抑制するためには,難治性てんかんに実施される外科的治療を除いて,ほとんどの症例で抗てんかん薬(薬物)の持続的投与が主流となっています.服用された薬物は,血中や組織で蛋白質と結合した結合型と結合していない遊離型として存在し,薬理効果を示すのは遊離型です2).
薬物と結合する蛋白質はアルブミン,グロブリン,α1酸性糖蛋白質などが知られており,特にアルブミンは多くの薬物と結合し,アルブミン量の変動が遊離型薬物の血中濃度に影響を与えるといわれています.さらに,遊離型薬物の血中濃度に影響を与える因子として薬物間の相互作用があります.てんかんの治療には単剤投与が理想とされていますが,重症なてんかんで発作が増強しているような症例では,単剤投与では発作が抑制されず複数の薬物が投与されます.複剤投与では薬物間の相互作用が起こり,薬物の組み合わせにより血中濃度が増減します.
てんかんの治療薬は種々ありますが,本稿では投与頻度の高いフェニトイン(phenytoin,PHT),カルバマゼピン(carbamazepine,CBZ),バルプロ酸(volproate,VPA)についてアルブミン量および薬物間相互作用が遊離型血中濃度に与える影響について考察しました.
参考文献
1)千葉茂,宮岸勉:常用薬の副作用―てんかんの概要.薬局 46:761-767,1995
2)細谷順,長岡英世,石川修,他:フェニトイン,カルバマゼピン,バルプロ酸の血清中遊離型濃度に関する臨床的検討.病院薬学 16:277-287,1990
3)大森栄,佐藤鉄男:抗てんかん薬の作用と適応―抗てんかん薬の体内動態.薬局 46:795-800,1995
4)矢後和夫,木村利美:よくわかるTDM.じほう,2004
5)相川博,山内俊雄:常用薬の副作用―抗てんかん薬.薬局 48:1493-1496,1999
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