icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻3号

2007年03月発行

文献概要

けんさ質問箱

末梢血液像で赤血球破砕があると判断する基準は ?

著者: 金子誠1 常名政弘1 東克巳2

所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部 2杏林大学保健学部 臨床血液学

ページ範囲:P.304 - P.307

文献購入ページに移動
Q.末梢血液像で赤血球破砕があると判断する基準は?

末梢血液像で赤血球破砕があると判断する基準はあるのでしょうか.また,赤血球破砕が認められた場合には必ず臨床に報告するべきでしょうか,併せてご教示ください.(神戸市 S.Y.生)


A.金子誠・常名政弘・東克巳

 赤血球形態異常のうち,パニック値に相当するものは破砕赤血球(fragmented red blood cells,schizocyte)である.破砕赤血球の成因は,物理的な外力による赤血球破壊であるが,これを認めた場合には,原因検索,治療を急ぐべき病態が潜んでいる可能性がある.この重篤で代表的な病態が,血栓性微小血管障害(thrombotic microangiopathy,TMA)である.TMAでは全身性の血管内血栓により血管狭窄部位で赤血球が破壊され,溶血している病態が存在していると説明されている.代表的な疾患としては,血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura,TTP),溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome,HUS)である.破砕赤血球判定基準については複数存在する(表).しかしながら,検査方法が塗抹標本の目視による視算法のため,客観性・再現性において誤差が大きく,標準化が困難なために統一基準がないのが現状である.破砕赤血球の存在が疑わしい場合には,血小板減少,溶血などのデータ確認や,臨床医とのコンタクトを密にし,病態の把握に努めるべきである.

参考文献

1)厚生省特定疾患特発性造血障害調査研究班溶血性貧血分科会,pp64-70,1990
2)日本臨床衛生検査技師会血液形態検査標準化ワーキンググループ.医学検査 45:1659-1671,1996
3)渡辺清明:血球形態判定の基準.慶大病院血液検査マニュアル,渡辺清明(編).医学書院,pp98-104,1991
4) 川合陽子,清水長子,武内恵,他:赤血球形態標準化の現状.日本検査血液学会雑誌 3:234-243,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?