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一般検査室から私の一枚
卵巣腫瘍患者尿にみられた悪性の異型細胞
著者: 長濱大輔1
所属機関: 1名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門
ページ範囲:P.379 - P.379
文献購入ページに移動Sternheimer染色変法(図)の細胞形態は,N/C比の大きな類円形細胞で,核は青染している.核形は不整で,腫大した2~3個の明瞭な核小体を有し,核縁は肥厚している.細胞質は分泌物を思わせるような明るい赤染性で,小球状の脂肪球を認めた.このほかにも腺腔を形成するような異型細胞のclusterを認めた.また,背景はクリアであった.細胞診断学的には卵巣明細胞腺癌(clear cell adenocarcinoma)を疑った.
臨床診断は悪性の卵巣腫瘍,組織型は腺癌(adenocarcinoma)であった.一般検査室での貴重な経験の一例である.
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