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腎移植後BKウイルス腎症とデコイセルの意義
著者: 伊藤慎一1 土屋朋大1 守山洋司1 稲垣勇夫2 出口隆1
所属機関: 1岐阜大学大学院医学系研究科泌尿器病態学分野 2岐阜大学大学院医学系研究科病態情報解析医学分野
ページ範囲:P.407 - P.410
文献購入ページに移動近年,免疫抑制療法の進歩により移植腎の生着成績は格段に向上してきている.従来から用いられていた免疫抑制剤に加え,タクロリムス,ミコフェノール酸モフェチルなど新たな免疫抑制剤の導入は,特に急性拒絶反応の発症頻度・重症度の低下をもたらし移植成績の向上につながっている.そして,最近の生体腎移植については5年生着率が90%を上回るようになっている.しかし,その一方では過剰免疫抑制状態を惹起する可能性も孕んでいる.前述の新規免疫抑制剤の登場後,今までその病原性があまり問題にされていなかったBKウイルス(BKV)がBKV腎症を引き起こし,移植腎に重篤な機能障害をもたらす可能性があることが明らかとなってきた.このBKV腎症の診断に関する検査としては,尿細胞診検査,PCR(polymerase chain reaction,ポリメラーゼ連鎖反応)検査(尿および血液)などが有用であるとされており,最終診断には腎生検標本による病理組織検査が用いられる.現在,BKV腎症のスクリーニング検査としては定期的に尿細胞診を行うことが推奨されている.また,当科では2005年8月より尿沈渣検査によるデコイセル(尿中核内封入体細胞)をスクリーニングに用いている.今回はBKV腎症の診断法,臨床像,そして当科での検討結果などについて紹介する.
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