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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻5号

2007年05月発行

文献概要

今月の表紙

骨髄異形成症候群:MDS;RAEB-T

著者: 東克巳1

所属機関: 1杏林大学保健学部臨床血液学研究室

ページ範囲:P.443 - P.443

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 FAB分類(French American British classification)のRAEB-TはWHO(World Health Organization,世界保健機関)分類では,不応性貧血を主徴とし過剰芽球を有する病態RAEB(refractory anemia with excess of blast)に相当する.WHO分類ではこのRAEBはRAEB-1とRAEB-2に設定されているが,RAEB-Tは消滅し設定されていない.その理由は,治療成績のこと,予後のこと,RAEB-Tを観察すると1年以内に芽球が30%以上になることなどがあり,さらにWHO分類にAML-MD(acute myeloid leukemia with multilineage dysplasia)が新設されたことによる.

 RAEB-1は末梢血では血球減少があり,芽球の比率が5%以下,単球は1,000/μl未満で芽球などにアウエル小体(Auer body)を認めない.骨髄では,異形成は1系統以上認められ,芽球の比率が5~9%で,アウエル小体は認めないとしている.RAEB-2は末梢血では血球減少があり芽球の比率が5~19%,単球は1,000/μl未満である.骨髄では芽球の比率は10~19%としている.アウエル小体は見られないこともあるが,確認されれば芽球の数が少なくてもRAEB-2に分類する.RAEB-1とRAEB-2のAMLへの移行を比較した場合,明らかにRAEB-2のほうが移行割合は高く,さらに予後不良でもある.芽球の比率10%でRAEBを二つに分類することは予後と相関することが明らかにされたことによる.FAB分類でRAEB-Tに分類されていた多くのものはWHO分類ではおそらくAMLに診断されていくものと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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