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臨床医からの質問に答える
血液培養から検出されたバチラスの意義
著者: 菊池和代1 相原雅典2
所属機関: 1株式会社保健科学研究所営業部院内受託課 2医療法人社団徳風会髙根病院検査部
ページ範囲:P.490 - P.491
文献購入ページに移動Bacillus属は自然環境中に存在する有芽胞性のグラム陽性桿菌であり,70種1)にも及ぶ菌種のほとんどはヒトや動物には無害であるが,B. anthracisのような人獣共通の病原体や,時にコンプロマイズドホスト(immunocompromised host,易感染性宿主)に致死的な敗血症を起こすB. cereus2)やB. subtilis3)なども含まれている.本属菌の芽胞は煮沸消毒や高温蒸気処理,アルコール消毒および低濃度の次亜塩素酸ナトリウムに抵抗する特徴をもつ.そのためアルコール綿やNICU(neonatal intensive care unit,新生児集中治療室)でのmanual ventilationを介したアウトブレイク4~5),消毒が不完全なタオルなどのリネン類が原因となった偽アウトブレイクなどの報告6)がある.そのため患者検体,特に血液から本菌属を検出した場合は感染菌か汚染菌かの識別がまず必要であるし,検出された菌が病原菌であったり,院内感染対策上捨ててはおけないと判断された菌であれば菌種同定が必要である.
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