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濾胞性リンパ腫:Follicular lymphoma
著者: 常名政弘1 東克巳2
所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部 2杏林大学保健学部臨床血液学研究室
ページ範囲:P.522 - P.522
文献購入ページに移動WHO(World Health Organization,世界保健機関)分類では,リンパ系腫瘍の成熟B細胞性腫瘍(mature B-cell neoplasms)のなかの濾胞性リンパ腫となる.
濾胞性リンパ腫は中高年に多く,全経過が8~13年と比較的長い経過をとるが,再発率が高く,治癒しにくい難治性リンパ腫の代表的疾患とされている.わが国での発生頻度はリンパ系腫瘍の約7%と比較的低いが,近年増加傾向にあるといわれている.濾胞性リンパ腫のWHO分類での規定は,胚中心の細胞に相当するB細胞の腫瘍のため少なくとも部分的に濾胞構造が認められるものとされている.また初発診断時の約半数に骨髄浸潤を認め,末梢血液像にもよく出現するが,正常の成熟リンパ球に近似していることも多く,鑑別困難な細胞の一つに挙げられる.細胞の特徴は,大きさが赤血球よりやや大きい10μm程度の小型の細胞で,細胞質はほとんど認めず,核と細胞膜との接する部分が多く,N/C比(nucleocytoplasmic ratio,核細胞質比)が大きく,核は濃染し,核の中心部へ向け切れ込みを認めることがある.
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