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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻6号

2007年06月発行

文献概要

技術講座 血液

自動血球計数機の測定原理と留意点

著者: 池本敏行1 田窪孝行23

所属機関: 1大阪医科大学附属病院中央検査部 2大阪医科大学臨床検査医学 3大阪医科大学附属病院血液内科

ページ範囲:P.523 - P.534

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新しい知見

 自動血球計数機はCBC(complete blood cell count),白血球分類および網赤血球を同時に測定できる機種が主流となっている.自動血球計数機は,用手法で測定されていたものを自動化したもので,自動血球計数機から得られる測定値は正確性において問題となることがあるが用手法によって確認することができる.最新の自動血球計数機には,これらの項目以外に新生血小板の指標である網血小板比率,血小板の蛋白質濃度や網赤血球内のヘモグロビン量を測定できる装置もある.また脆弱性細胞比率を測定し白血球分類に反映できる装置もある.網血小板比率は特発性血小板減少性紫斑病の診断1)に,網赤血球内ヘモグロビン含量は腎性貧血におけるエリスロポエチン投与量の指標2)として臨床応用され始めている.しかし,CBCや白血球分類とは違い,網血小板比率や網赤血球内ヘモグロビン含量を用手法で確認することはできない.したがってこれらの測定値の正確性は,各メーカーから提供される情報に頼らざるを得ない.網血小板比率については測定法によって基準値が大きく異なる3,4)

参考文献

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2) 岡野裕子,土谷健,安藤稔,他:慢性透析患者における網赤血球ヘモグロビン含量(CHr)測定の意義.日本透析医学会雑誌 34:1079-1087,2001
3) 西山美保,林悟,二日市良彰,他:全血法による網血小板測定法の基礎的・臨床的検討.臨床病理 48:872-876,2000
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12) 巽典之,安井良則,田中一巨,他:血球計数機の正確性.From Coulter 21:1-20,1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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