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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻6号

2007年06月発行

文献概要

一般検査室から私の一枚

ある沈渣像

著者: 油野友二1

所属機関: 1金沢赤十字病院検査部

ページ範囲:P.546 - P.546

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 なんだ円柱じゃない?と思われるかもしれません.でもそう思っていただけると嬉しいです.実はこれは材料が尿ではなくて腎臓の割面を生食水で洗ったときの,その生食水の沈渣像です.20年ほど前,病理解剖中に腎臓の写真を撮るときに洗浄した液をビーカーに取っておいて,後で覗いてみたんです.なぜかって!覚えていません.多分,ただ見たかったからでしょう.よく見ると細胞がホースの管ように並んで,まさに尿細管では…….そのなかに赤血球が詰まっています.赤血球円柱はこうやってできるんだとドキドキした記憶があります.少し落ちついてからよく見ると管の左上の細胞,脂肪変性しているように見えませんか?「卵円形脂肪体だ!」とさらに顔は紅潮してきました.こんな私の姿,傍から見れば異常ですよね.

 尿沈渣情報から伝えるべき病態情報はたくさんあるはずですが,どうも曖昧な情報が多いのが現状です.日常業務からちょっと離れて何かやってみると,思わぬ発見が!そんな貴方を尿中のみんなが今や遅しと待っているような気がします.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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