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血管を作る蛋白質bFGF
著者: 江崎二郎1 丸井晃1 米田正始1
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科心臓血管外科
ページ範囲:P.581 - P.583
文献購入ページに移動近年,食生活の欧米化に伴い,糖尿病,高脂血症,高血圧などの動脈硬化をきたす疾患が増加し,それに伴い,心臓の血管(=冠動脈)に動脈硬化が及ぶ狭心症・心筋梗塞といった虚血性心疾患や,足の血管に動脈硬化が及ぶ閉塞性動脈硬化症などが増加している.軽症であれば内服薬のみで効果があるが,病気がある程度進行すると,虚血性心疾患に対しては経皮的冠動脈形成術(percutaneous transluminal coronary angioplasty,PTCA)や冠動脈バイパス術(coronary artery bypass grafting,CABG)が行われ,閉塞性動脈硬化症に対しては経皮的血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty,PTA)やバイパス術が行われる.しかし,病気がさらに進行すると,ある程度の太さの血管が閉塞し,非常に微細な血管のみとなっていき,経皮的血管形成術やバイパス術は行うことができなくなる.また,四肢末梢の血管炎のために末梢血管が閉塞を起こすバージャー病や,末梢微小循環障害による糖尿病性下肢壊疽なども血管形成術やバイパス術の適応にならないことが多い.
虚血性心疾患が進行すると虚血性心筋症といって虚血のために心機能が低下し,心不全を繰り返すようになる.また,下肢虚血が進行すると下肢の切断が必要になり,QOL(quality of life,生活の質)が著しく低下する.経皮的血管形成術やバイパス手術が施行不可能な症例に対して,血管新生療法が最近注目を浴びるようになってきた.
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