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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻7号

2007年07月発行

文献概要

一般検査室から私の一枚

奇怪かつ奇妙な上皮細胞

著者: 藤利夫1

所属機関: 1国立病院機構九州がんセンター臨床検査部

ページ範囲:P.663 - P.663

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 巨大化し奇怪かつ奇妙な成分がみられる.二,三個の上皮細胞なのか,それとも複数個が複雑に絡み合っているのかは不明である.細胞質は透明で光沢感があり,ややわかりづらいが左下中心部に核様の所見もみられる.材料は尿沈渣で,悪性リンパ腫治療中の症例である.無染色では,円柱や通常の尿細管上皮細胞の出現も一部認めた.したがって,本症例は薬剤投与の影響による尿細管障害が疑われ,反応性に変化した尿細管上皮細胞と思われる.

 この像から“龍踊り:五穀豊穣を祈る雨乞い祭り”を想像した.一見,天に舞い上がった龍が月を飲み込み雲を呼び,雨を降らせようとする動きにも見える.尿細管上皮細胞は多種多様で,反応性ともなると想像を絶する変化をとるが,日常生活の光景に映し出される像と交差し,尿沈渣検査の魅力が溢れんばかりの一枚である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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