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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻7号

2007年07月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

尿沈渣と微生物検査における細菌数の乖離の原因

著者: 野崎司1 伊藤機一2

所属機関: 1東海大学医学部付属大磯病院中央臨床検査科 2大東文化大学スポーツ・健康科学部

ページ範囲:P.696 - P.700

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はじめに

 尿路感染症の診断には,細菌尿などの尿所見が極めて重要である.尿は本来無菌であり,細菌尿の存在は尿路感染症を意味する.細菌尿の判定は,試験紙による尿定性検査や尿沈渣検査,培養検査が一般的である1~4).しかし,尿定性検査や尿沈渣検査では再現性や検出率に問題があることが指摘されている5).また,培養検査において尿路感染症の原因となる起因菌を尿中から検出することは診断上必須であるが,正確な菌数を得るには少なくとも一晩以上の時間を要し,迅速とはいいがたい6~8).このなかで尿沈渣検査は比較的簡便に結果が得られ,細菌尿のスクリーニングとして多用されている.

 細菌尿について尿沈渣検査と尿培養検査を同一検体で提出したが,両者の検査にて結果が乖離することがしばしばあり,臨床医から問い合わせがある.ここでは尿沈渣検査と尿培養検査における結果の乖離の原因について述べる.

参考文献

1) 伊藤機一,野崎司:広範囲 血液・尿化学検査 免疫学的検査(1) 試験紙法による尿定性半定量検査.日本臨床 57:45-79,1999
2) 野崎司,佐藤智明,伊藤機一:感染症と尿検査 尿中成分自動測定装置による尿路感染症へのアプローチ.Medical Technology 29:741-747,2001
3) 伊藤機一(監修):尿沈渣ガイドブック.東海大学出版会,2000
4) 日本臨床衛生検査技師会(編):尿沈渣検査法2000.日本臨床衛生検査技師会,2000
5) 三宅一徳:感染症と尿検査 尿沈渣における細菌尿の考え方・見方.Medical Technology 29:423-428,2001
6) 田部陽子,猪狩淳:尿亜硝酸塩試験と尿エステラーゼ試験.検査と技術 24:953-956,1996
7) 畑中正一,嶋田甚五郎(編):微生物学.文光堂,1996
8) 小栗豊子(編):臨床微生物検査ハンドブック 第2版.三輪書店,2000
9) Pitetti RD, Choi S:Utility of blood cultures in febrile children with UTI. Am J Emerg Med 20:271-274,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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