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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻7号

2007年07月発行

文献概要

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あとがき

著者: 菅野治重

所属機関:

ページ範囲:P.716 - P.716

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 今年は梅雨になっても雨が少なく,夏の渇水が心配されています.これから暑い季節を迎えますが,読者の皆様も体調には十分注意して頂きたいと存じます.

 今年は成人に麻疹と百日咳が流行していますが,この最大の原因はワクチンを接種しない人が多いことによります.わが国の麻疹ワクチン接種率は約85%(2005年)で,欧米で広く行われている2回接種もわが国では不徹底です.この結果,わが国では毎年2万人以上の麻疹患者が報告されていますが,米国では年間100人程度であり,そのほとんどがわが国などからの輸入感染例です.欧州でも麻疹は年間の患者数が数十例以下の国が多く,わが国は大変恥ずかしい状況にあります.成人麻疹の流行を教訓としてワクチン接種の必要性を特に若い世代に訴えたいと思います.また百日咳では線維状赤血球凝集素(filamentous hemagglutinin,FHA)と百日咳毒素(pertussis toxin,PT)の抗体価の測定が診断上重要ですが,これらの検査はいまだに保険適用がなく,流通している試薬も少ないため,流行時はすぐに検査ができなくなってしまいます.それにしてもSARSや新型インフルエンザなど新しい感染症が次々と登場している現状において,臨床検査の外注化によって病院の微生物検査室が次々と消失している状況は,今後のわが国の感染症対策に大きな障害となることは明らかです.病院に微生物検査室の設置を義務づける法制化が必要と思います.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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