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病気のはなし
下垂体腺腫
著者: 阿部琢巳1
所属機関: 1昭和大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.722 - P.732
文献購入ページに移動下垂体腺腫とはホルモン分泌の中枢である脳下垂体から発生する良性腫瘍である.ホルモンの過剰分泌により特徴的な身体所見やさまざまな臨床症状を呈する.成長ホルモンの過剰分泌により巨人症や先端巨大症に,副腎皮質ホルモンの過剰によりクッシング(Cushing)病に,プロラクチン過剰により無月経や乳汁分泌が出現する.視神経を圧迫し両耳側半盲を呈する.不妊症の原因の一つでもある.放置すると頑固な高血圧や糖尿病になり,癌にも罹患しやすくなる.診断は血中のホルモン値高値とMRI上の下垂体腫瘍の存在によりなされる.診断を確実にするために各種ホルモン負荷試験も必要である.治療の原則は経蝶形骨洞的腫瘍摘出術である.残存腫瘍に対してはガンマナイフなどの放射線療法を施行する.薬剤感受性の高い腫瘍に対しては薬剤を用いて加療する.成長ホルモン産生腺腫に対する術中ホルモン値測定法は,腫瘍摘出術の根治性を高め,正常下垂体の不必要な損傷を避けるために非常に有用性の高い手段である.
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