文献詳細
疾患と検査値の推移
自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia,AIHA)
著者: 和田秀穂1
所属機関: 1川崎医科大学血液内科
ページ範囲:P.761 - P.765
文献概要
自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia,AIHA)は,自己免疫疾患の一種であり,なんらかの原因で抗赤血球抗体が産生され,赤血球が破壊亢進(溶血)することによって生じる貧血の総称である1).本症は抗赤血球自己抗体の至適温度作動域によって,温式(warm type)と冷式(cold type)のAIHAに分類され,後者には寒冷凝集素症(cold agglutinin disease,CAD)とドナート-ランドスタイナー(Donath-Landsteiner)抗体を有する発作性寒冷血色素尿症(paroxysmal cold hemoglobinuria,PCH)とが知られている.
疫学的には,わが国における溶血性貧血全病型の推定患者数は100万対12~44で,その約半数が後天性溶血性貧血であり,AIHAは全体の約1/3を占めている2).AIHAの約80%が温式AIHAであり,約20%がCADで,残りのPCHは極めて稀であることから,温式AIHAのことを慣例的にAIHAと呼ぶことも多い.
参考文献
掲載誌情報