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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻8号

2007年08月発行

文献概要

一般検査室から私の一枚

シュウ酸カルシウム結晶

著者: 稲垣清剛1

所属機関: 1愛知県厚生農業協同組合連合会安城更生病院臨床検査技術科

ページ範囲:P.767 - P.767

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 世の中には有形,無形を問わず美しいものが多数存在するが,美しさは有形では色彩や形などがその要素となる.また,無形では例えば「あの人の心はなんて美しいのだろう」と感じたりする.現政府が目指す「美しい日本」は風景のみならず,多面的な美しさを指すのであろう.

 さて,写真の結晶は尿沈渣ではよく見られるシュウ酸カルシウムである.ただ,赤血球と比較してわかるように非常に大きく,まとまって4個見られ画面からはみ出しそうである.辺は直線で幾何学的な8面体を保っており,鉱物の蛍石(フローサイト)に似ている.結晶は透明そのもので,下にある赤血球は歪みなく認められる.尿路という条件下でよくもこのように大きく成長したものだ.結晶は条件が揃わないと大きく成長せず,ダイヤモンドやエメラルド(緑柱石),金属鉱物の菱亜鉛鉱などもそうである.このような美しい結晶を生み出す人体は不思議というよりほかならない.患者は左尿管結石症であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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