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文献概要
私の一推し免疫染色
常備しておきたいTreponema pallidumの抗体
著者: 森永正二郎1
所属機関: 1北里研究所病院病理科
ページ範囲:P.768 - P.769
文献購入ページに移動通常,臨床的に梅毒が疑われれば,患者の性行動に関する聞き取りや,血清学的検査がなされ.感染が確かめられれば,その情報とともに病理に組織が送られてくるものだが,主治医が全く梅毒を疑っていない場合には,このように腫瘍という臨床診断のもとに組織が送られてくることがある.また,胃生検で,胃潰瘍として胃粘膜組織が病理に送られてきたものが,実は胃梅毒(第2期病変)であったというようなこともある.口唇でも胃でも,H-E染色標本を見たときに,“何かおかしい”と思い,梅毒の可能性を疑ってみることができるかどうかが診断の分かれ目である.この場合の“何かおかしい”は,異常に強い形質細胞浸潤である.胃粘膜ではTPは主として間質,ときに粘膜上皮細胞間にも存在している(図3).梅毒は結核ほどではないものの,古くて新しい感染症である.したがって,日常の病理診断に当たって常に念頭に置いておく必要がある.
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