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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻8号

2007年08月発行

文献概要

失敗から学び磨く検査技術―臨床化学編

血清値と血漿値との差―迅速検査でも血漿には注意―採血管が違うのか?血清ではないのでは?

著者: 佐藤裕久1

所属機関: 1青森県立中央病院臨床検査部

ページ範囲:P.770 - P.775

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 近年,測定値の信頼性に加えより迅速な検査報告が要求される緊急検査時や,ワーファリン療法や抗凝固処置後の患者検体ではフィブリン析出が数時間持続する事例への対応として,ヘパリンリチウム(Li)入り採血管による血漿での測定も行われている.検査室ではあらかじめ抗凝固剤の種類別の影響を把握し,検査データチェックの際に適切な対応ができるように心がけている.

 日常検査においては稀に“採取管が違う?血清ではないのでは?”と考えさせられる事例と遭遇する.今回,“血漿ではないか?”と考えられた事例を提示し,改めて血清と血漿での測定値の違いや抗凝固剤の影響について整理したいと思う.

参考文献

1) 飯塚儀明:採血方法―血清と血漿ではこう違う.平成18年度生物化学分析部門研修会テキスト,2006
2) 堀井隆:採血管からの直接サンプリングで見られる乳酸脱水素酵素(LD)異常値の原因について.日本臨床検査自動化学会会誌 30:289-292,2005
3) 近清裕一,吉川和彦,原田朱美,他:採血管から直接サンプリングによる測定値の異常.医学検査 50:183-187,2001
4) 近清裕一:迅速測定におけるLDHの異常高値を示した事例.第13回サンプリング研究会講演記録集,pp21-24,1999
5) 森下芳孝:臨床化学検査 EDTA,クエン酸,シュウ酸,フッ化物を用いた抗凝固剤入りの血漿検体で,Caや他の金属イオン,酵素(ALP,LAP,amylase,CK)活性を測定してはいけない.Medical Technology 29(臨時増刊):1512,2001
6) 佐藤裕久:臨床化学検査 迅速検査用として,むやみに血漿で分析してはならない.Medical Technology 29(臨時増刊):1514,2001
7) 篠良雄:検査室で遭遇した乖離例の報告.第45回臨床化学会年会S2-3,p21,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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