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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻8号

2007年08月発行

復習のページ

梅毒の血清検査

著者: 亀子光明1

所属機関: 1長野市民病院診療技術部

ページ範囲:P.798 - P.800

文献概要

[梅毒検査が変わった?]

 梅毒検査に用いられる古典的免疫血清検査は何ですかと,若手の技師諸君に質問したら,果たして何と答えるであろうか.団塊の世代の技師の面々は,間違いなく脂質抗原試験(serological test for syphilis,STS)として,ガラス板法,緒方法,凝集法を,そして梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum,TP)抗原を用いたTP抗原試験としてTPHA(TP hemagglutination test,TP赤血球凝集反応)を答えることであろう.梅毒検査が華やかなりしころの梅毒検査法指針では,STSとTP抗原試験との組み合わせにより,表に示す検査結果から1),感染の状況を判断していた.

 しかし,ここ十数年で梅毒検査は大きく様変わりをしており,近年では,イムノクロマト法(immunochromatography,IC)を利用したTP抗体測定試薬が開発され,術前のスクリーニング検査や緊急時感染症検査として用いられ,また,自動分析装置用試薬として2),ラテックス凝集免疫法(latex agglutination immunoassay,LAIA)や化学発光酵素免疫法(chemiluminescent enzyme immunoassay,CLEIA)を原理とした測定法が開発され,感染症の日常検査ではB型肝炎ウイルス抗原,C型肝炎ウイルス抗体などの測定項目と同時に測定されることが多い.

参考文献

1) 水岡慶二:梅毒血清反応の臨床的意義.検査と技術 21:549-555,1993
2) 佐藤千秋,渡辺麻子,新井祐司,他:梅毒RPR及びTP抗体の自動化同時測定のよる梅毒迅速診断と偽陽性例の解析.医学検査 52:959-963,2003
3) 北橋繁,巽典之:抗体検査の定量化とその問題点.Medical Technology 27:431-436,1999
4) Cox DL, Chang PO, McDowall AW, et alu:uThe outer membrane, not a coat of host proteins, limits antigenicity of virulent Treponema pallidum. Infect Immun 60:1076-1083,1992
5) 望月照次(監修):免疫血清検査における異常現象―その実例と対策.(社)日本臨床衛生検査技師会,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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