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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻8号

2007年08月発行

けんさ質問箱

網赤血球数と白血球数・血小板数との関連は?

著者: 常名政弘1 小池由佳子1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.802 - P.804

文献概要

Q.網赤血球数と白血球数・血小板数との関連は?

網赤血球数の増減と白血球数,また血小板数の増減とが相関しているのはどのような機序なのか,教えてください.(北上市 A.K.生)

 

A.常名政弘・小池由佳子

 末梢血液細胞には,白血球,赤血球,血小板があり,これらは骨髄中の多能性造血幹細胞から分化成熟し産生されている.そのため血球3系統の母細胞である造血幹細胞に量的ないしは質的異常を認める場合,末梢血液中の網(状)赤血球を含むすべての血球が減少する.また造血細胞以外の細胞で骨髄が置換された場合,さらに骨髄抑制が起こる治療などにより造血幹細胞が影響を受け正常な造血が障害された場合においても汎血球減少に至る.反対に治療後の骨髄回復期では,すべての血球が増加傾向を示すことが多い.しかし,3系統の血球は必ずしも相関して増減するわけではなく,各血球に対する造血因子の増減や血球の破壊亢進,腫瘍化などのさまざまな原因によりそれぞれの血球が単独に増減し,相関を示さない場合も多い.

参考文献

1) 松野一彦:(血液検査に必要な専門的知識)白血球.日本血液検査学会(編):スタンダード検査血液学.医歯薬出版,pp26-34,2003
2) 元吉和夫:白血球.浅野茂隆,池田康夫,内山卓(監):三輪血液病学.文光堂,pp298-311,2006
3) 高後裕:赤血球の生成と崩壊.浅野茂隆,池田康夫,内山卓(監):三輪血液病学.文光堂,pp241-251,2006
4) 渡辺清明:(血液検査に必要な専門的知識)血小板.日本血液検査学会(編):スタンダード検査血液学.医歯薬出版,pp34-37,2003
5) 柴田進:図解血液病学.金芳堂,pp136-137,pp283-293,1996
6) 田窪孝行:(結果の評価)赤血球増加症.日本血液検査学会(編):スタンダード検査血液学.医歯薬出版,pp190-194,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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