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新しい抗真菌剤ボリコナゾール
著者: 増田亜希子1 矢冨裕1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科内科学専攻臨床病態検査医学
ページ範囲:P.805 - P.807
文献購入ページに移動深在性真菌症は,抗悪性腫瘍剤投与による免疫抑制状態の患者や,好中球減少を伴う血液疾患患者などに合併する重篤な疾患である.原因となる真菌は,わが国の剖検例の検討ではカンジダ属(Candida)とアスペルギルス属(Aspergillus)が大半だが,近年はアスペルギルスが増加傾向にあり1),問題となっている.
深在性真菌症の治療薬は種類が少ない.わが国で発売されている深在性真菌症の治療薬8剤のうち,アスペルギルス属に抗菌活性を示す薬剤は,アムホテリシンB(amphotericin B,AMPH-B),イトラコナゾール(itraconazole,ITCZ),ミカファンギン(micafungin,MCFG),ボリコナゾール(voriconazole,VRCZ;ブイフェンド(R))の4剤である.AMPH-Bは長い間深在性真菌症治療のgold standardとされてきたが,抗菌力は優れているものの,副作用が高頻度でみられ,十分な投与量の障害となっていた2).一方,2005年6月に発売されたボリコナゾールは,欧米で行われた比較試験で唯一AMPH-Bよりも優れた治療成績が証明された薬剤であり3),AMPH-Bに比べて副作用も少ないことから,臨床的意義は大きい.
本稿では,新しい抗真菌剤ボリコナゾールの特徴,血中濃度モニタリングの必要性やCYP2C19遺伝子多型検索の意義について述べる.
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