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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻8号

2007年08月発行

文献概要

学会印象記 第56回日本医学検査学会

挑戦,そしてさらなるスキルアップのために

著者: 古谷公英1

所属機関: 1順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院検査科

ページ範囲:P.812 - P.812

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 私が日本医学検査学会に参加,発表したのは実に14年ぶりであった.多少の緊張と興奮の中,羽田空港から約1時間半で宮崎県入りし,宿泊ホテルのある宮崎駅を降りると今話題となっている笑顔の県知事の等身大パネルが出迎えてくれた.この宮崎県において第56回日本医学検査学会が2007年5月18日と19日に開催された.海に臨むフェニックス・シーガイア・リゾートにある宮崎国際会議場とワールドコンベンションセンターサミットの2会場で行われた.宮崎駅から会場までのシャトルバスが運行されていたが,車内は混雑し,距離もあった.二つの会場間もバスが使われていた.会場は静かで自然豊かな場所にあり,それだけで気持ちが落ち着く場所であった.

 さて,本学会では「フェニックス―原点から未来への挑戦―」をテーマに掲げ,特別講演,招待講演,文化講演,教育講演,シンポジウム,パネルディスカッション,スライドカンファレンス,ワークショップ,一般演題に分けられ,それぞれ講演が行われた.私が日ごろ業務を行っているのが,一般検査であるため,最初に向かった先は,教育講演の「いま無視できないムシの話―日本国内における最近の寄生虫感染症の動向―」であった.寄生虫症の激減の要因には,国の経済復興,高度経済成長にあわせ寄生虫撲滅対策,人糞肥料から化学肥料への変更,農薬の使用,上下水道の整備などさまざまであろうが,すべての寄生虫症が日本から消滅した訳ではない.当院でもそれほど多くはないが,年に数例は寄生虫症を疑って検査が出されている.この2~3年の間では,赤痢アメーバのシストやジアルジア(ランブル鞭毛虫)の栄養型・シスト,日本海裂頭条虫卵,無鉤条虫卵,肝吸虫などが検出されている.寄生虫症疑いの検体が提出された場合は,患者の病歴・食べたもの,渡航の有無を確認したうえで,必ず見つけるという強い意識をもって検査に望み,常日頃から寄生虫の勉強を怠らないことが重要であると再認識し,講演を聴くことができた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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