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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻8号

2007年08月発行

文献概要

学会印象記 第56回日本医学検査学会

学会発表から得られること

著者: 安部信行1

所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部

ページ範囲:P.813 - P.813

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 青い海原,緑地が広がる宮崎国際会議場にて5月17日午後4時過ぎ,日野浦雄之学会長の挨拶で第56回日本医学検査学会開催が宣言された.会長の挨拶から今回の学会の趣旨や思い入れなどをご披露していただき深く感銘した次第である.来賓の挨拶では東国原宮崎県知事や宮崎市長,宮崎県医師会長からのご祝辞があり,開会式を大いに盛り上げていただいた.今回のテーマ「フェニックス~原点から未来への挑戦~」に相応しい学会がはじまる.翌18日から二日間,宮崎国際会議場ならびにワールドコンベンションセンターの2か所でそれぞれ,教育講演,特別講演,シンポジウムや一般講演が14会場に分かれて開始された.抄録を見て多くの会場を回ろうとするが,私の担当する生理検査関係を中心に配分したため時間が合わず特別講演などは聴講することができなかった.生理検査関係の一般演題は全国から97題と,私が発表した頃とは格段に多く,さまざまな研究活動が行われていると感じた.聴講予定の会場は二日間ともワールドコンベンションセンターなので楽に移動することができた.

 一日目の午前は神経生理関係の会場へ行き聴講する.聴性定常反応(auditory steady-state response,ASSR)検査は小児の聴力障害の程度を判定するには有効な方法とされているが,その検査の有用性を明らかにするため成人のボランティアを対象に純音聴力や聴性脳幹反応(auditory brainstem response,ABR)検査などと比較して発表していた.ASSR検査については初めて耳にするが,小児に適応した場合の有用性など説明しており,ASSRの検査が少し理解できた.また,脳波ではWest症候群や起立性低血圧症の症例について報告され,さらに内側側頭葉てんかんの記録時に蝶形骨誘導電極や頬骨誘導電極を用いた検査方法についての報告など,基礎から症例検討までの報告があり興味深く聴講した.続いて睡眠時無呼吸症候群の発表では,無呼吸症候群患者の体位についての検討や,顎面軟部組織形態から持続的気道陽圧(continuous positive airway pressure,CPAP)の適正圧を推定する方法などの発表が行われていた.さらに携帯型睡眠時無呼吸測定装置の検討,循環器疾患と無呼吸症候群の関係なども報告されており,多方面から検討されていることがわかり大変参考になった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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