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文献詳細

雑誌文献

検査と技術35巻9号

2007年09月発行

文献概要

Laboratory Practice 〈血液●採血の現況と問題点・3〉

採血と末梢神経損傷

著者: 高山真一郎1 杉本義久2 岡崎真人3

所属機関: 1国立成育医療センター整形外科 2流山総合病院整形外科 3慶應義塾大学病院整形外科

ページ範囲:P.865 - P.868

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はじめに

 採血や点滴などによる末梢神経損傷は日常的に頻発するが,その多くは数日から数週間で軽快する.しかしながら時には疼痛・知覚障害などが長期間持続し,後遺症や補償問題などが生じることがある.さらに軽微な損傷をきっかけに,頑固な神経因性疼痛を引き起こす難治例も稀ではない.針刺しによる末梢神経損傷の原因は,注射針による機械的損傷と注入薬剤による化学的損傷とに分けられるが,長期間持続する末梢神経障害では採血や静脈注射が原因となっていることも少なくない1,2).本稿ではその予防について検討し,さらに観血的治療の経験から注射針による末梢神経損傷の病態,治療について考察する.

参考文献

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3) 茂呂貴知,菊地臣一,紺野慎一,他:肘関節屈側の皮静脈と神経の解剖―医原性神経損傷の予防の観点から.東日本整災誌 15:419,2003
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11) Sugimoto Y, Takayama S, Horiuchi Yu:uPerineurial window on the digital nerve - A case report. Hand Surg 3:201-203,1998
12) 高山真一郎:Peripneurial Window―実験モデルと臨床例について.末梢神経 10:29-34,1999
13) 岡崎真人,高山真一郎,杉本義久,他:Perineurial windowに関する実験的研究―長期自然経過と治療について.日手会誌 17:664-667,2001
14) 末松典明,平山隆三,勝木雅俊,他:注射針による上肢末梢神経の機械的損傷20例.日手会誌 15:575-577,1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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