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文献詳細

雑誌文献

検査と技術36巻1号

2008年01月発行

文献概要

失敗から学び磨く検査技術―臨床化学編

血清鉄と検査時において留意すべきポイント―血清鉄検査の検体は日内変動を考慮して採血

著者: 刈米和子1

所属機関: 1(財)東京都保健医療公社荏原病院検査科

ページ範囲:P.42 - P.46

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体内鉄の分布と動態

 体内の鉄の総量は約4,000mgといわれており,図1に示すように約2/3は赤血球中にヘモグロビンとして,1/3は肝細胞内や肝・脾の網内系細胞内に貯蔵鉄(フェリチンとヘモジデリン)として,約4%が筋肉内にミオグロビンとして存在する.いわゆる血清鉄は体内の鉄の0.1%にすぎず,血漿フェリチンとして存在する鉄の量はさらに少ない.

 血清鉄はβ1グロブリン分画に属するトランスフェリン(transferrin,Tf)と結合した状態で存在している.

 貯蔵鉄プールから動員された鉄はTfと結合して血清鉄となり,血清中を流れて骨髄の赤芽球に摂られる.赤芽球は鉄を一つの材料として血色素を合成し,成熟して脱核して核のない赤血球となり,平均120日の寿命で崩壊する.崩壊した赤血球は細網細胞で結合して血清鉄として再び造血に用いられるか,貯蔵鉄プールへ入る.つまり,図2に示すように,血清鉄→骨髄→赤血球→貯蔵部→血清鉄の一方向に絶えず動いている1,2)

参考文献

1) 刈米重夫:血清鉄の日内変動.臨床検査 30:810-815,1986
2) 刈米重夫:鉄.日本臨床(増刊号) 47:765-770,1989
3) 友安茂:検査値の読み方18-① 血清鉄,不飽和鉄結合能,総鉄結合能.治療 79(増刊):226,1997
4) 石井暢(監修):検査値の経時的変動,(株)エスアールエル,pp100-102,1990
5) 岡部紘明:高齢者の臨床検査基準値;モダンメディア 51:195-203,2005
6) 日本臨床検査自動化学会:極端値・パニック値対応マニュアルVer.1.4(2005.9.1).日本臨床検査自動化学会会誌 162(30):9-13,2005
7) 青木義政,阿藤泉,坂口恵理,他:Indocyanine greenはNitroso-PSAP法での血清鉄測定に負の影響を及ぼす.医学検査 50:554,2001
8) 一戸紀子:ニトロソPSAP法を用いた血清鉄測定におけるM蛋白の影響について.第60回国立病院総合医学会抄録.P-2-709,2006
9) 久米幸夫:異常反応をいかにみつけるか.Medical Technology 30:1279-1285,2002
10) 金井泉(著),金井正光(編著):臨床検査提要改定,第31版.金原出版,pp599-602,1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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