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増刊号 これから広がる生理検査・新たにはじまる生理検査 B 腹部・体表エコー法
2. elastographyの基礎と臨床(体表)
著者: 植野映1
所属機関: 1筑波大学大学院人間科学総合研究科乳腺甲状腺内分泌外科
ページ範囲:P.948 - P.954
文献購入ページに移動乳房の超音波診断は主にBモード画像にて行われ,補助的にカラードプラが利用されてきた.リアルタイム超音波診断の開発とともに組織の硬さの評価方法として1985年に動的検査として筆者ら1)により考案され,超音波医学会の腫瘤像形成性病変の診断基準の1評価項目とされてきた.しかしながら,動的検査では静的な画像を提供することは難しく,その再現性に問題があった.これに対してエラストグラフィ(elastography)は,体内組織の硬さ(弾性)の分布を,客観的に画像化して提供する方法として開発された.
癌腫の多くは圧迫では変形しにくく,“しこり”として硬く触知される.Krouskopら2)はin vitroで,脂肪,乳腺,癌腫などの各組織の弾性係数を測定し,各組織による硬さを数値化して報告した.その報告のなかでは,浸潤性乳管癌(invasive ductal carcinoma,IDC)の弾性係数は,正常乳腺の3倍以上を示し,非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ,DCIS)でも若干硬い傾向を示すとした(図1).
このことからエラストグラフィの開発に拍車がかかり,さまざまな手法が開発されてきている.現在,実用化されているのは複合自己相関法を利用したリアルタイム組織弾性映像法である3).
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