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文献詳細

雑誌文献

検査と技術36巻11号

2008年10月発行

文献概要

コーヒーブレイク

検体検査高度自動化の功罪

著者: 戸塚実1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科

ページ範囲:P.1241 - P.1241

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 病院検査部検体検査部門は近代的工場の様相を呈する時代になった.高速処理自動分析装置にデータ処理のコンピュータシステム.30年前には想像もできなかった.単位時間に処理できる検体数は飛躍的に増加し,今や「診断前検査」はできて当たり前の時代になりつつある.外来患者が前回の検査結果を聞くためだけに病院を訪れることは激減したに違いない.まさに検体検査高度自動化の「功」である.そもそも,標記のテーマをいただいたが,検体検査高度自動化に「功」はあっても,本来「罪」などあるのだろうか.「罪」があるとすれば,それは検体検査高度自動化を適切に利用できない私たち医療関係者側にあるのかもしれない.

 家電の進歩は目覚ましい.携帯電話も然りである.自慢ではないが,家電や携帯電話の機能を100%生かすことなど私にとって夢のような話である.下手をすれば「らくらくホンにしたら?」などといじめられるが,私の年代で最新の携帯電話を完全に使いこなせる人がいるのだろうか.携帯電話を日々研究し,最良のものを生み出す努力を否定する気はさらさらない.問題なのは「最新」の言葉に弱いわれわれ消費者にあるのだろう.もちろん,商品の購入は個人の資財でまかなわれるのだから,一般的な視野で見れば私がとやかく言う資格があるはずもない(大きな視野で見ると,大量消費そのものが私たちの住む世界を脅かしているというのも事実のようであるが).しかし,医療となると話は別である.国民皆保険のわが国における医療は相互扶助が原則にある.お互いに無駄をなくしていかなければシステムは崩壊する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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