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Laboratory Practice 〈一般〉
空胞変性円柱と不染円柱
著者: 田中佳1 芹川富美男2 松本正美1 中川静代1 野島孝之13
所属機関: 1金沢医科大学病院中央臨床検査部 2金沢医科大学アナトミーセンター 3金沢医科大学病態診断医学
ページ範囲:P.1257 - P.1261
文献購入ページに移動空胞変性円柱(vacuolar-denatured cast)は尿沈渣検査で検出される円柱の一つであり,基質内に多数の空胞をもつ円柱である(図1).円柱の基質はろう様であることが多く,ステルンハイマー(Sternheimer,S)染色では赤紫色に染まることが多い.糖尿病性腎症〔血清クレアチニン(sCr)が2.0mg/dl前後から〕で出現しやすいことが一般的に認められており1),「尿沈渣検査法2000」(JCCLS GP1-P3)では,“その他の円柱”に分類されている.
近年,糖尿病性腎症による腎不全が増加していることもあり,空胞変性円柱は決して稀少な円柱ではなく日常業務でも散見される円柱である.ただし,糖尿病性腎症に特異的な所見ではなく他のネフローゼ症候群や腎炎でも見られることがある2).
その成因についてはこれまで,脂肪円柱から脂肪成分が抜け落ちて形成されるのではないか,あるいは空胞化した尿細管上皮細胞に由来するのではないか,などと考えられてきた.事実,空胞変性円柱は背景に脂肪円柱や卵円形脂肪体を伴うことが多い.また,空胞化した尿細管上皮細胞を認めることもある.しかし,いずれも証拠はなく基本的には不明であった.
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