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文献詳細

雑誌文献

検査と技術36巻11号

2008年10月発行

文献概要

復習のページ

血小板減少症の鑑別診断

著者: 影岡武士1

所属機関: 1財団法人 倉敷中央病院臨床検査科

ページ範囲:P.1278 - P.1280

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[新米医師の奮闘記]

 遠い昔の話になって恐縮するが,私が医学部卒業3年目(1972年)の経験談から入ろう.初めて担当した厳しい白血病患者は急性前骨髄球性白血病,今でいうFAB分類でM3に当たる症例である.患者は49歳,男性,今まで健康であったが入院15日前より特別の誘引なく歯肉出血をきたし,止血が困難であったという.入院時の身体所見は,歯肉出血と四肢皮下いっ血斑を多数認めたがそのほかに異常所見はない.血液所見として,ヘモグロビン(Hb)13.6g/dl,血小板数3.5×104/μl,白血球数10,300/μl,白血球分類では骨髄芽球38%(非定型的白血病細胞21.5%),前骨髄球31%,そのほかわずかな成熟好中球とリンパ球であった.骨髄所見の特徴は,粗大なアズール顆粒で満たされ異型性の強い核をもつ前骨髄球が48.9%を占めていて,診断が確定した.

 出血傾向に関する検査は,出血時間10分以上と著明に延長,プロトロンビン時間(prothrombin time,PT)と部分トロンボプラスチン時間(partial thromboplastin time,PTT)も延長,フィブリノゲン減少,euglobulin融解時間短縮(線溶能の亢進を示す),血沈1時間5mmと促進がない.当時は播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation,DIC)の診断指標としてフィブリン分解産物(fibrin degradation product,FDP)などが使えなかったので,出血傾向検査を総合的にみて,貧血が目立たないこと,骨髄の巨核球がむしろ増加していること,などを勘案して発病後間もないDICを合併した急性前骨髄球性白血病として治療を開始した.

参考文献

1) 三輪史朗,影岡武士:急性前骨髄球性白血病―臨床講義.臨床と研究 50:13-20,1973
2) 浅野茂隆,池田康夫,内山卓(監):三輪血液病学.文光堂,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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