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Laboratory Practice 〈病理●液状処理細胞診検査の新しい試み・3〉
尿細胞診におけるシンレイヤー法の有用性―フィルター法との比較
著者: 佐藤正和1 有安早苗1
所属機関: 1独立行政法人国立病院機構岡山医療センター
ページ範囲:P.1350 - P.1353
文献購入ページに移動近年,細胞診において液状処理細胞診(liquid based cytology,LBC)が注目され婦人科領域をはじめとしたいろいろな分野でその有用性が報告されている.LBCは,材料の液状化処理を基本とし,従来はスライドガラスに直接塗抹していた材料を,いったん細胞保存液(固定液)に細胞を浮遊させたのち,スライドガラスに薄層面(シンレイヤー;thin layer)になるよう塗抹する方法である.
しかし,今回のテーマである尿や胸水,腹水などは元来が液状の検体であり,いかに細胞形態を損なわず,またはがれないようにガラスに貼り付けるかが最重要課題であった.特に低蛋白である尿や髄液においては,さまざまな検討がなされてきた.
現在の尿検体処理の主な方法として遠心沈査塗抹法,遠心直接塗抹(オートスメア法,サイトスピン法),2回遠心法(細胞保存液添加法),フィルター法などがあるが,われわれはこれまでの検討結果から集細胞性と形態保持性の点を考慮して尿細胞診にはフィルター法を採用してきた.
新たな技法であるシンレイヤー法のこの分野における最も注目すべき点は,細胞保持性と再現性にある.そこで同一検体からシンレイヤー法(SurePathTM法;TriPath製)とフィルター法(フィルカップ法:タイホー工業製)で作製した標本の集細胞性,形態保持性,操作性を中心に比較検討した結果をもとに尿細胞診におけるシンレイヤー法の有用性について述べる2).
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