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文献詳細

雑誌文献

検査と技術36巻12号

2008年11月発行

文献概要

Laboratory Practice 〈病理●液状処理細胞診検査の新しい試み・3〉

尿細胞診におけるシンレイヤー法の有用性―フィルター法との比較

著者: 佐藤正和1 有安早苗1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構岡山医療センター

ページ範囲:P.1350 - P.1353

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はじめに

 近年,細胞診において液状処理細胞診(liquid based cytology,LBC)が注目され婦人科領域をはじめとしたいろいろな分野でその有用性が報告されている.LBCは,材料の液状化処理を基本とし,従来はスライドガラスに直接塗抹していた材料を,いったん細胞保存液(固定液)に細胞を浮遊させたのち,スライドガラスに薄層面(シンレイヤー;thin layer)になるよう塗抹する方法である.

 しかし,今回のテーマである尿や胸水,腹水などは元来が液状の検体であり,いかに細胞形態を損なわず,またはがれないようにガラスに貼り付けるかが最重要課題であった.特に低蛋白である尿や髄液においては,さまざまな検討がなされてきた.

 現在の尿検体処理の主な方法として遠心沈査塗抹法,遠心直接塗抹(オートスメア法,サイトスピン法),2回遠心法(細胞保存液添加法),フィルター法などがあるが,われわれはこれまでの検討結果から集細胞性と形態保持性の点を考慮して尿細胞診にはフィルター法を採用してきた.

 新たな技法であるシンレイヤー法のこの分野における最も注目すべき点は,細胞保持性と再現性にある.そこで同一検体からシンレイヤー法(SurePathTM法;TriPath製)とフィルター法(フィルカップ法:タイホー工業製)で作製した標本の集細胞性,形態保持性,操作性を中心に比較検討した結果をもとに尿細胞診におけるシンレイヤー法の有用性について述べる2)

参考文献

1) 佐藤正和,福田智他:フィルター法を用いた低異型尿路上皮癌の検討.日本臨床細胞学会中国四国連合会会報 20:106-109,2005
2) 有安早苗,平本直美,佐藤正和,他:尿細胞診におけるThinlayer法の有用性 フィルター法との比較検討.日本臨床細胞学会岡山支部会誌 26:32-34,2007
3) Sprenger E, Schwarzmann P, Kirkpatrick M, et alu:uThe false negative rate in cervical cytology. Comparison of monolayer to conventional smears. Acta Cytol 40:81-89,1996
4) 金城満:TripPath社 SurePath法によるThinlayer標本アトラス.泌尿器領域細胞診.医学生物学研究所,名古屋,pp4-5,2006
5) 医学生物学研究所情報化学システム部:MBL細胞診技術レポート.No1,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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