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Laboratory Practice 〈緊急検査〉
救命救急での薬毒物中毒検査
著者: 福田篤久1 久保田芽里1 石田浩美1 桶野芳樹1
所属機関: 1大阪府立泉州救命救急センター検査室
ページ範囲:P.1354 - P.1357
文献購入ページに移動救命救急領域で実施される薬毒物検査は,その性格上,薬毒物の種類や量など不明瞭な点が多く,希薄な情報量のなかから判断するには困難を要する.また,病院検査室の立場から考えてみても,血液や尿から中毒起因物質を特定することは,はなはだ困難なことである.したがって,中毒起因物質が混在している可能性がある現物そのものを試料として検査することが理想的であるが,この理想的な試料が入手できたとしても,その分析に時間を費やしていたのでは患者にとって不幸な結果を招くこともある.さらに,適切な治療は一刻も早く開始されなければならない.
言うまでもなく,これらの薬毒物から患者を救う第一のアプローチは,いかに早く中毒起因物質を特定し,臨床現場にその情報を提供できるかにある.また,このような立場で行う薬毒物検査は,事件解明のための検査ではなく,あくまでも患者救命のための検査でなくてはならず,臨床現場に直結する情報の提供が必須である.要するに,この目的を満たすことが可能であれば時間のかかる定量試験よりも,迅速に行うことのできる定性試験の重要性は高く,陽性・陰性のいずれの結果にせよ臨床現場にとって有力な情報になることは疑いないと考えている1~3).
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