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酵素アノマリーとは
著者: 藤田清貴1
所属機関: 1信州大学大学院医学系研究科病因・病態検査学
ページ範囲:P.1369 - P.1372
文献購入ページに移動日常検査で酵素活性異常が認められた場合は,病態およびその原因を探るため電気泳動法によるアイソザイム分析が行われる.その際,病態を反映しない活性異常を示す例では,時としてある分画の欠損,過剰分画の出現,移動度の異なる分画などの異常パターンが観察される.頻度的に最も多いのは酵素結合性免疫グロブリン(enzyme linked immunoglobulins)である.酵素結合性免疫グロブリンでは酵素蛋白の側に異常がないにもかかわらず,免疫グロブリンと結合することで酵素蛋白の電気移動度が変化し,あたかも酵素異常のように観察されることから,酵素アノマリー(anomaly:異常なものの意)の名称が付された.
しかし,電気泳動分析で,ザイモグラム上観察される異常分画すべてを酵素アノマリーと呼ぶことが多いため,遺伝的変異酵素などとの鑑別が必要となる.遺伝的変異酵素については文献1を参照していただくとして,ここでは酵素結合性免疫グロブリンについて述べる.
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