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検査と技術36巻12号

2008年11月発行

文献概要

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酵素アノマリーとは

著者: 藤田清貴1

所属機関: 1信州大学大学院医学系研究科病因・病態検査学

ページ範囲:P.1369 - P.1372

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[酵素アノマリーの名称の由来は?]

 日常検査で酵素活性異常が認められた場合は,病態およびその原因を探るため電気泳動法によるアイソザイム分析が行われる.その際,病態を反映しない活性異常を示す例では,時としてある分画の欠損,過剰分画の出現,移動度の異なる分画などの異常パターンが観察される.頻度的に最も多いのは酵素結合性免疫グロブリン(enzyme linked immunoglobulins)である.酵素結合性免疫グロブリンでは酵素蛋白の側に異常がないにもかかわらず,免疫グロブリンと結合することで酵素蛋白の電気移動度が変化し,あたかも酵素異常のように観察されることから,酵素アノマリー(anomaly:異常なものの意)の名称が付された.

 しかし,電気泳動分析で,ザイモグラム上観察される異常分画すべてを酵素アノマリーと呼ぶことが多いため,遺伝的変異酵素などとの鑑別が必要となる.遺伝的変異酵素については文献1を参照していただくとして,ここでは酵素結合性免疫グロブリンについて述べる.

参考文献

1) 藤田清貴:最新 酵素・アイソザイム検査 測定法とその臨床的意義 異型酵素.臨床病理レビュー 116:7-15,2001
2) 藤田清貴:LD―免疫グロブリン複合体.日本電気泳動学会(編):最新電気泳動実験法.医歯薬出版,pp136-142,1999
3) Wilding P, Cooke WT, Nicholson GIu:uGlobulin bound amylaseu;uA cause of persistently elevated levels in serum. Ann Inter Med 60:1053-1059,1964
4) Ganrot POu:uLupoid cirrhosis with serum lactic acid dehydrogenase linked to an gamma A immunoglobulin. Experientia 23:593,1967
5) 井本勉,内田壱夫,太田美栄,他:LDH結合性免疫グロブリンの性状に関する研究―抗LDH単クローン性自己抗体の発見.日消会誌 71:1249-1255,1974
6) Fujita K, Sakurabayashi I, Kusanagi M, et alu:uA lactate dehydrogenase- immunoglobulin G1 complex, not blocked by anti-idiotype antibody, in a patient with IgG1-lambda type M-proteinemia. Clin Chem 33:1478-1483,1987
7) Fujita Ku:uImmunochemical study of immunoglobulins bound to lactate dehydrogenase. Clin Chim Acta 264:163-176,1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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