icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術36巻12号

2008年11月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

緊急検査としてのDダイマー検査

著者: 神谷優美子1 沖田政義2

所属機関: 1社会福祉法人同愛記念病院研究検査科 2社会福祉法人同愛記念病院技術科

ページ範囲:P.1373 - P.1376

文献購入ページに移動
はじめに

 安定化フィブリンのプラスミン分解産物がDダイマーの総称で,生体内の血栓がプラスミンにより溶解されたときにDダイマーが生成される(二次線溶).

 Dダイマーは以下の機序で生成される.
①血管内損傷部位で凝固系が作動すると,トロンビンが産生される.
②トロンビンがフィブリンに働き,フィブリノゲンがフィブリンモノマーになる.
③フィブリンモノマーが互いに重合しフィブリンポリマーになる.そこに第因子が作用して安定化フィブリンができて,血液の流れを妨げる.
④血流をスムーズにするためにはプラスミンが重要である.そのプラスミンによって分解されたフィブリンは,ポリマー構造を有する集合体(X-オリゴマー)を形成する.

 この集合体の中には高分子から中間分子,低分子までさまざまな分画としてDダイマーが存在することが知られている(図1).このことから,Dダイマーは“架橋化されたフィブリンの分解産物”という意味でXDP(cross-linked fibrin degradation products)とも呼ばれている.

参考文献

1) 松本剛史,和田英二:血栓止血の臨床―研修医のためにDVT/PEの診断,治療マーカー.血栓止血 19:22-25,2008
2) 山角健介,愛甲孝:静脈瘤とDIC.丸山征郎(編):DIC ology―その分子病態・診断・臨床スペクトラム・治療.メディカルレビュー,pp275-281,1997
3) 丸山征郎:深部静脈血栓症 注目される新しい検査指標.Medical Technology 32:926-928,2004
4) 肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン作成委員会:肺血栓塞栓/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン.メディカルフロントインターナショナルリミテッド,2004
5) 阿部靖之,岡嶋啓一郎,中野哲雄:シンポジウム 深部静脈血栓症に対するリスクマネージメント.日整会誌 78:39-43,2004
6) 循環器病の診断と治療に関するガイドライン合同研究班:肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断・治療・予防に関するガイドライン.Circulation Journal 68(Suppl. ):1079-1134,2005
7) Wells PS, Anderson DR, Rodger M, et alu:uEvaluation of D-Dimer in the diagnosis of suspected deep-vein thrombosis. N Engl J Med 349:1227-1235,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?