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文献詳細

雑誌文献

検査と技術36巻13号

2008年12月発行

文献概要

疾患と検査値の推移

亜急性甲状腺炎

著者: 髙野徹1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科臨床検査診断学

ページ範囲:P.1420 - P.1424

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疾患の概念と病態

1 . 概念と定義

 甲状腺に起こる亜急性の炎症によって甲状腺組織内の濾胞構造が破壊され,そこから血中に大量の甲状腺ホルモンであるトリヨードサイロニン(triiodothyronine,T3),サイロキシン(thyroxine,T4)が漏れ出し,甲状腺中毒症状を呈する代表的な非化膿性炎症性疾患である.炎症の経過とともに甲状腺内に多核巨細胞を含む炎症性の肉芽腫が形成される.30~50代の女性に多く,男女比は1:10である.甲状腺中毒症患者の4~5%を占めると考えられているが,完治に長期間を要するものの無治療でも寛解することと,急性上気道感染症と非常に似た症状で発症するため,自覚症状が軽い場合は“風邪”と誤診されていることが多いと考えられる.したがって,実際はもっと高頻度である可能性がある.

参考文献

1) Volpe R:The management of subacute (DeQuervain's) thyroiditis. Thyroid 3:253-255,1993
2) 森弘毅,吉田克己:亜急性甲状腺炎.別冊日本臨床 新領域別症候群シリーズ1内分泌症候群 第2版.日本臨床,pp426-429,2006
3) 横沢保,森田新二:炎症性甲状腺疾患.隈寛二(編):甲状腺・上皮小体超音波診断アトラス 第2版,ベクトルコア,pp121-134,1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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