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Laboratory Practice 〈生化学〉
アディポネクチンの測定
著者: 前田和俊1 山田貞子2 周防武昭2
所属機関: 1鳥取県立中央病院検査科 2鳥取大学医学部保健学科病態検査学
ページ範囲:P.1442 - P.1444
文献購入ページに移動近年,メタボッリックシンドロームという言葉が世間一般に浸透し,2008年4月から特定健診,いわゆる“メタボ健診”が開始され注目されている.
メタボリックシンドローム発症の大きな原因の一つとして,内臓脂肪蓄積による血中アディポネクチン濃度の低下が挙げられる.アディポネクチンは脂肪細胞から分泌される生理活性物質,アディポサイトカインの一つであり,抗糖尿病作用,抗動脈硬化作用などを有しており,低アディポネクチン血症ではメタボリックシンドロームを呈することが多いと言われている.
アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されるが,同じアディポサイトカインであるレプチン,プラスミノゲンアクチベーターインヒビター1型(plasminogen activator inhibitor type 1,PAI-1)や腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor α,TNF-α)の血中濃度がBMI(body mass index)に相関して増加するのに対し,アディポネクチンの血中濃度はBMIと逆相関し,減量によって増加することが知られている1).また,心筋梗塞や狭心症といった動脈硬化性疾患や糖尿病患者では血中濃度が低下することが報告されている1~5).
近年,これらの生理活性と多量体構造の役割の関係について注目されており,高分子(high molecular weight,HMW)構造体のアディポネクチンやその総濃度に対する比率を測定することで,より病態を反映することができると報告されている6~8).
本稿では高分子のアディポネクチンが分別測定できるヒト多量体アディポネクチン分別測定キット(積水メディカル製)を用いた測定法について取り扱い説明書に準じて述べる.
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