文献詳細
文献概要
けんさ質問箱
関節エコーの検査のポイントと評価の仕方
著者: 桑田智紀1 藤原憲太1 中島幹雄1 木下光雄1
所属機関: 1大阪医科大学整形外科教室
ページ範囲:P.159 - P.160
文献購入ページに移動リウマチ科の医師に“関節のエコー”をとってみてくれないかといわれましたが,今まで施行したことのない分野なので,途方にくれています.関節のエコーをやっているご施設があれば,ぜひポイントと評価の仕方を教えていただけないでしょうか.(東京都 A.M.生)
A.桑田智紀・藤原憲太・中島幹雄・木下光雄
はじめに
関節リウマチ(rheumatoid arthritis,RA)は,免疫異常による多発性の関節炎を主症状とする進行性炎症性疾患であり,関節の中にある滑膜が主な病変と考えられています.この滑膜は滑らかな関節運動をするための関節液を産生していますが,炎症が生じると滑膜内に血管が新生されたり血管拡張が起こり,滑膜は増殖し関節液が貯留します.このような病態が続くと,徐々に軟骨や骨が破壊され関節は変形します.
滑膜炎による滑膜内の血管の増生や血流の増加,その後に続く滑膜の増殖や関節破壊の程度を画像で評価することは,RAの活動性や薬物治療の効果を判定するうえで大変重要なことです.近年の研究では,超音波断層法を用いて滑膜の増殖の程度を計測したり,パワードップラー超音波断層法(パワードップラーとは,血流をシグナルに変換して画像表示し,血流の流量により濃淡をつけるもの)を用いて滑膜内の血流量が評価されており,これらはRAの疾患活動性によく相関していると言われています1,2).
参考文献
掲載誌情報