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文献詳細

雑誌文献

検査と技術36巻3号

2008年03月発行

文献概要

疾患と検査値の推移

クッシング症候群とコルチゾール

著者: 小田桐恵美1

所属機関: 1東京女子医科大学病院中央検査部臨床検査科

ページ範囲:P.240 - P.245

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概念

 クッシング(Cushing)症候群はグルココルチコイド,特にコルチゾールの慢性過剰によって引き起こされる病態である.副腎から分泌されるコルチゾールは下垂体の副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone,ACTH)の支配を受け,ACTHは視床下部の副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(corticotropin-releasing hormone,CRH)の支配を受ける.コルチゾール-ACTH-CRHの間にはネガティブフィードバック(negative feedback)機構が働いているため,コルチゾール過剰状態ではACTH,CRHは抑制される(図1).クッシング症候群は,①下垂体ACTH産生腺腫(クッシング病),②副腎コルチゾール産生腺腫,③異所性ACTH産生腫瘍,④医原性(グルココルチコイド過剰投与),などにより引き起こされるために鑑別診断が必要となる.鑑別診断で行われる負荷試験はコルチゾール-ACTH-CRHのネガティブフィードバック機構を応用したものが多い1,2)

参考文献

1) 高野加寿恵(監修):最新内分泌検査マニュアル 第2版.日本医事新報社,2006
2) 熊原雄一,高久史麿,清水直容,他:図説内科診断治療講座8 間脳・下垂体,副腎疾患.メジカルビュー社,1989
3) 小田桐恵美:血漿および尿中遊離cortisolと11-deoxycortisolのradioimmunoassay(RIA)による下垂体副腎皮質機能の診断.東女医大誌 45:494-508,1975
4) 小田桐恵美,成瀬光栄,田辺晶代,他:内分泌疾患の検査診断の進歩(2) コルチゾール測定とその問題点,プレクリニカルクッシング症候群の診断基準をめぐる問題点.臨床病理 55:549-554,2007
5) 二川原健,須田俊宏,小田桐恵美:コルチゾール.Medical Practice編集委員会(編):臨床検査ガイド2007~2008 これだけは必要な検査のすすめかた・データのよみかた.文光堂,pp427-431,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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