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病気のはなし
抗リン脂質抗体症候群
著者: 家子正裕1 内藤澄悦2 吉田美香2 西尾仁1 中林透1
所属機関: 1北海道医療大学歯学部内科学 2北海道医療大学歯科内科クリニック臨床検査部
ページ範囲:P.300 - P.304
文献購入ページに移動抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid antibody syndrome,APS)は,血中に抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibodies,aPL)が証明され動静脈血栓症や妊娠合併症を主症状とする疾患群である.血栓症は脳梗塞や深部静脈血栓症が多く,妊娠合併症としては妊娠早期の習慣流産,子宮内胎児死亡や妊娠中毒症がある.血小板減少症などのaPL関連症状もAPSの症状と考える.検査では酵素免疫測定法(enzyme-linked immunosorbent assay,ELISA)で測定される抗カルジオリピン抗体(anticardiolipin antibodies,aCL),抗β2グリコプロテインI抗体(anti-β2-glycoprotein I antibodies,aβ2GPI)およびリン脂質依存性凝固時間の延長として検出されるループスアンチコアグラント(lupus anticoagulant,LA)のaPL測定が必須である.APSの診断にはAPS分類基準が用いられ,少なくとも一つの臨床症状と検査所見(aCL,aβ2GPIまたはLA)を認めた場合にAPSと診断する.aPL発生機序や血栓機序は解明されていないため原因治療は難しく,血栓症の治療や予防が主体となる.
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