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文献詳細

雑誌文献

検査と技術36巻5号

2008年05月発行

文献概要

技術講座 生化学

―臨床化学基礎技術シリーズ―2.分析ツール その1:容量と重量(質量)

著者: 関口光夫1

所属機関: 1前・日本大学医学部附属板橋病院 臨床検査部

ページ範囲:P.391 - P.395

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はじめに

 臨床化学検査の測定値にかかわらず,定量的分析化学における分析値は“濃度”として表されるのが一般的である.その濃度の表し方には,容量モル濃度,質量モル濃度,質量分率,体積分率,組立単位で表される濃度がある.臨床化学検査での検査値や試薬の濃度表現には,容量モル濃度や組立単位(質量/体積)濃度が使用されることが多い.実際的には表1に示すような単位のほかにμg/ml,ng/ml,pg/mlなどの慣用単位が汎用されている.しかし,将来的には日常診療の場においてもSI単位系への転換を進め,容量モル濃度を用いるのが望ましいとされている.一方,分子量が明確でない成分は1l当たりの質量で表す.その例を総蛋白で示すと7.0g/dlは70.0g/lと表す.

 質量モル濃度や質量分率が使用される頻度は少ないが,浸透圧を表す濃度として質量モル濃度が用いられている.この濃度が臨床化学検査領域で汎用されないのは溶媒である血清や血液の比重が病態により大きく異なる場合があるためと思われる.

参考文献

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2) 日本規格協会,日本分析化学会:化学分析方法通則(JIS K 0050:2005).日本規格協会,2005
3) 国立天文台(編):理科年表 平成21年版(第81冊).丸善,pp351-359,2007
4) (独)産業技術総合研究所計量標準センター(監・訳):国際文書第8版(2006)国際単位系(SI)日本語版.日本規格協会,pp53-54,2006
5) 小泉袈裟勝,山本弘:単位のおはなし改訂版.日本規格協会.pp54-67,2004
6) 高田誠二:理科年表読本「単位」がわかる.丸善,pp18-21,2004
7) 関口光夫:器具および計測機器の条件とそのチェック.Medical Technology 20:1007-1011,1992
8) 金井正光(編著):臨床検査法提要改訂31版.金原出版,pp1347-1348,1998
9) 日本規格協会:標準物質の認証―一般的及び統計学的原則(JIS Q 0035:1997).日本規格協会,1997
10) 日本臨床化学会:ヒト血清中酵素活性測定の勧告法―クレアチンキナーゼ.臨床化学 19:184-208,1990
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12) 日本臨床化学会:イオン電極法による血液中ナトリウム,カリウム,塩素濃度測定の勧告法―標準血清による正確さの校正法.臨床化学 22:279-290,1993
13) 関口光夫:こんなときには? Medical Technology 11:1196-1197,1983

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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