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臨床医からの質問に答える
臨床症状と合わない血清CA19-9高値
著者: 二木亜希子1 山口ひろ子1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.450 - P.451
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糖鎖抗原(carbohydrate antigen,CA)19-9はヒト結腸・直腸癌培養株をマウスに免疫して得られた抗体NS19-9と反応する抗原である.その構造は型糖鎖抗原を基本骨格とする血液型抗原Leaの糖鎖の末端にシアル酸が結合したもので,血中ではムチン型糖蛋白として存在している1,2).CA19-9は当初,大腸癌を含む消化器癌の腫瘍マーカーとしての応用が期待されていたが,膵癌,胆囊癌,胆管癌の大部分で著しい高値を示し,大腸癌などより測定値,陽性率も高いことから膵・胆道系の腫瘍マーカーとして応用されている.
CA19-9の偽高値の一つに,胃粘膜保護剤スクラルファートの服用があることが報告されている.これは慢性胃炎・消化性潰瘍の治療を目的とした服用により胃粘膜を保護することで,CA19-9が胃粘膜の毛細血管を介して血中に逆流するため一過性に高値を示すとされている3).
糖鎖抗原(carbohydrate antigen,CA)19-9はヒト結腸・直腸癌培養株をマウスに免疫して得られた抗体NS19-9と反応する抗原である.その構造は型糖鎖抗原を基本骨格とする血液型抗原Leaの糖鎖の末端にシアル酸が結合したもので,血中ではムチン型糖蛋白として存在している1,2).CA19-9は当初,大腸癌を含む消化器癌の腫瘍マーカーとしての応用が期待されていたが,膵癌,胆囊癌,胆管癌の大部分で著しい高値を示し,大腸癌などより測定値,陽性率も高いことから膵・胆道系の腫瘍マーカーとして応用されている.
CA19-9の偽高値の一つに,胃粘膜保護剤スクラルファートの服用があることが報告されている.これは慢性胃炎・消化性潰瘍の治療を目的とした服用により胃粘膜を保護することで,CA19-9が胃粘膜の毛細血管を介して血中に逆流するため一過性に高値を示すとされている3).
参考文献
1) Koprowski H, Steplewski Z, Mitchell K, et alu:uColorectal carcinoma antigens detected by hybridoma antibodies. Somatic Cell Genet 5:957-971,1979
2) Magnani JL, Brockhaus M, Smith DF, et alu:uA monosialoganglioside is a monoclonal antibody-defined antigen of colon carcinoma. Science 212:55-56,1981
3) 河野通盛,山田貞子,汐田剛史,他:スクラルファート長期内服により血清CA19-9値上昇を示した6例の検討.臨床検査 46:929-932,2002
4) 日本臨床衛生検査技師会免疫血清研究班:免疫血清検査における異常現象.日本臨床衛生検査技師会,pp5-49,2002
5) 大竹晧子,加野象次郎:免疫学的測定法における干渉.検査と技術 25:207-213,1997
6) Boscato LM, Stuart MCu:uIncidence and specificity of interference in tow-site immunoassays. Clin Chem 32:1491-1495,1986
7) 三浦寛子,北野充繪,米山彰子,他:IgG性異好抗体によるCA19-9偽高値例の検討とウシ免疫グロブリンによる偽高値の回避.臨床病理 53:1103-1108,2005
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