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文献詳細

雑誌文献

検査と技術36巻7号

2008年07月発行

文献概要

病気のはなし

特発性血小板減少性紫斑病

著者: 尾崎由基男1

所属機関: 1山梨大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.594 - P.597

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サマリー

 特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura,ITP)は,急性または慢性に経過する後天性の血小板減少症であり,皮膚や粘膜の出血を主症状とする疾患である.血小板減少の原因となるような明らかな基礎疾患や遺伝的要因がないため特発性血小板減少性と命名されているが,現在では免疫学的機序によるものと考えられている.赤血球や白血球など他の血球成分には異常なく,また凝固線溶系にも変化はない.予後は比較的よく,ITPによる出血で死亡することは少ない.ITP治療の第一選択は副腎皮質ステロイドであるが,一部にはステロイドに反応しない難治性の症例も存在する.最近になりITP患者に高率にヘリコバクターピロリ菌の感染があり,除菌によりITPが治癒することが明らかになった.

参考文献

1) Karpatkin Su:uAutoimmune thrombocytopenic purpura. Blood 56:329-343,1980
2) McMilan R, Tani P, Millard F, et alu:uPlatelet-associated and plasma anti-glycoprotein autoantibodies in chronic ITP. Blood 70:1040-1045,1987
3) 野村武夫:特発性血小板減少性紫斑病分科会報告.厚生省特定疾患特発性造血障害調査研究班昭和58年度報告書,pp26-31,1983
4) 塚田理康:特発性血小板減少性紫斑病.Medicina 30:78-80,1993
5) 野村昌作,安永幸二郎:免疫性血小板減少症の診断.治療 特にITPについて.Medical Practice 11:43-46,1994
6) 小澤敬也,坂田洋一(編):血液内科診療マニュアル.協和発酵株式会社,pp168-172,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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